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妥協なき操作性を求めて。Bambu Lab P2Sで組み上げる実戦仕様の自作レバーレス1号機
Bambu Lab P2S Comboのポテンシャルを極限まで引き出したケース設計。成功も失敗も包み隠さず語る、ガチ勢のための製作ドキュメント。

妥協なき操作性を求めて。Bambu Lab P2Sで組み上げる実戦仕様の自作レバーレス1号機

自作レバーレスコントローラー1号機の基本スペックと構成

まずは今回組み上げた1号機の全体構成を整理しておこう。市販品を凌駕するコントローラーを目指すなら、単なるパーツの寄せ集めでは話にならない。私が徹底的にこだわったのは「メンテナンス性」「剛性」「拡張性」の3点だ。

以下の表は、本機に採用した主要パーツとその選定理由である。頭脳となるコントロール基板には、圧倒的な低遅延を誇るRaspberry Pi Picoを採用。ボタン類はコスパと実績のバランスに優れたセイミツ製24mmをメインに据えた。ケース本体はBambu Lab P2S Comboで造形し、後々のレイアウト変更を視野に入れてメインボタン部を独立パーツ化している。

項目仕様・採用パーツ選定理由・特徴
コントロール基板Raspberry Pi Pico圧倒的な低遅延とコスパ。GP2040-CEファームウェアとの相性は最高だが、端子レイアウトには工夫が必要。
メインボタンセイミツ 24mmボタン安価ながら確かな打鍵感。ハイエンド機と比較すると若干のストロークの長さは気になるが、テスト機としては十分。
サブボタン汎用 16mmボタンメニュー操作用。まとめ買いでコストダウンを図ったが、実戦では誤爆のリスクも。
ケース素材PLAフィラメント造形精度と剛性を両立。底板と天板の分割構造により、内部へのアクセスを容易にした。
外部接続USB Type-C変換コネクタ現代のゲーミング環境に必須のType-C化。ただしパーツの調達コストと将来性に課題あり。


この構成をベースに、実際の組み立てにおいてどのような壁にぶつかり、どう解決したのか。次項から、実戦投入を見据えた泥臭い製作プロセスをステップ・バイ・ステップで解説していく。

ケース設計のこだわりと「たわみ」を許さない天板の強度対策

格闘ゲームにおいて、ボタンを強く叩いた際の「ケースのたわみ」は操作ミスに直結する。これは絶対に妥協できないポイントだ。今回のケース設計では、256mm四方のビルドプレートを持つBambu Lab P2S Comboの恩恵をフルに活かしつつ、剛性の確保に最も時間を割いた。

当初は天板裏にリブ(補強用の梁)を張り巡らせてしなりを抑える設計を試みた。しかし、シミュレーションとテスト出力の結果、激しいピアノ押しや辻式入力の負荷をリブだけで完全に受け止めるのは不可能と判明。そこで方針を180度転換し、天板から底板に向かって伸びる「複数の脚」で物理的に支えるパワープレイへと設計を変更した。

この決断により、PLAフィラメントの使用量は約114gまで跳ね上がり、プリント時間も大幅に延長された。だが、その恩恵は計り知れない。底板と密着する脚が天板のたわみを完全に殺し、どれだけ乱暴に叩き込んでもビクともしない、市販のハイエンドアケコン顔負けの剛性を獲得できた。実戦での安定感を求めるなら、プリント時間をケチってはいけない。脚による直接補強こそが最適解だ。

メンテナンス性を劇的に高めるインサートナットとマグネット構造

3Dプリントパーツ(PLA)の致命的な弱点、それはネジ穴の耐久性だ。直接タッピングビスをねじ込む構造では、数回の開け閉めでネジ穴が崩壊してしまう。頻繁なメンテナンスを前提とする自作アケコンにおいて、これは致命傷になり得る。そこで本機では、ケースと底板の結合に真鍮製インサートナットの熱圧入を採用した。

ここで一つテクニックを紹介しよう。径4.1mmのナットに対し、あえて3.8mmというタイトな下穴を設計しておく。はんだごてで熱を加えながら押し込むことで、周囲のPLAが溶けてナットにガッチリと食いつき、強固なスレッドが完成する。さらに、2分割したケースの連結にはネジの仮止めと底板の挟み込みを併用し、ガタつきの一切ない一体感を実現した。

もう一つのこだわりが、天板デザインの着せ替えギミックだ。1mm厚の薄いカバーを別途出力し、ネオジウム磁石でパチッと固定する構造を取り入れた。ケース側にエポキシ接着剤で磁石を埋め込み、カバー側に鉄ネジを仕込むことで、工具レスで天板を着脱できる。…はずだったのだが、このギミックが後に思わぬ悲劇を引き起こすことになる。

コントロール基板「Pico」の固定と配線の最適化

心臓部であるRaspberry Pi Picoの設置と配線ワーク。ここにも自作ならではのノウハウが詰まっている。PicoはMicro USB端子が片側に寄っているため、単純なブラケット設計ではケーブル挿抜時に基板に捻じれ負荷がかかりやすい。そこで今回は、固定ネジをあえて1本に減らし、ケースの壁面にピタリと寄せて配置するアプローチをとった。これにより、物理的な壁でズレを抑え込む堅牢なマウントが可能になる。

配線には、AliExpressで調達した格安のデュポンコネクタケーブル(100本入り)を活用。ボタン側はファストン端子をそのまま活かし、GND(マイナス)側は思い切ってカットして加工を施した。PicoはGNDピンの数が限られており、全ボタンのGNDを個別に繋ぐのは現実的ではないからだ。

解決策として、ユニバーサル基板を切り出してGND集約用のターミナルを自作し、ケース内にマウントした。デイジーチェーン(数珠つなぎ)で這わせるよりもケーブルのルーティングが視覚的にクリアになり、断線時のトラブルシューティングが劇的に楽になる。長めのケーブルも、天板を支える補強脚に這わせることで、ケース内での浮き上がりや干渉を完璧に防ぐことができた。

ボタンの組み込みとType-C化の苦労、そして設計の落とし穴

ボタンの組み込みは自作の醍醐味だが、3Dプリントケースにおいては精度が命となる。今回はコスパ重視でセイミツ製24mmのはめ込み式ボタンを採用した。テストプリントを執念深く繰り返した結果、カチッと完璧にはまるクリアランスを導き出すことに成功。打鍵時のズレは皆無だ。

一方、外部接続のインターフェースには苦労させられた。現代のゲーミングデバイスとしてUSB Type-C化は必須条件。そこでパネルマウント用のType-A to Type-C変換ケーブルを組み込んだのだが、このパーツが意外と高価な上、市場の選択肢が乏しい。将来的なパーツ供給(ディスコン対応)に一抹の不安を残す結果となった。市販品が独自のコネクタを採用する理由が、皮肉にも自作を通じて理解できた。

そして、組み込みの最終段階で致命的な設計ミスが発覚する。先述した「着せ替え用の1mm厚天板カバー」のボタン穴を、ベース天板と全く同サイズにしてしまったのだ。結果として、ボタンのリム(縁)が天板カバーをガッチリとホールドしてしまい、「ボタンを全部外さないとカバーが交換できない」という本末転倒な事態に。マグネット固定の利便性を自ら殺してしまう、痛恨の極みである。これは次期モデルで絶対に修正しなければならない。

配線の仕上げと、プレイ精度を高める滑り止め加工

全パーツが収まった後の配線整理。ここで手を抜くと、後々のメンテナンスで地獄を見る。10個以上のボタンから伸びるケーブルが交差する中、GNDを自作ターミナルに集約した恩恵がここで爆発した。信号線とGND線のルーティングを明確に分離できたため、底板を閉める際のケーブル挟み込みリスクをゼロに抑え込めた。

さらに、実戦投入において剛性と同じくらい重要なのが「本体の滑り止め加工」だ。激しい入力操作を行うと、どれだけ重いアケコンでも机の上でズルズルと動いてしまう。市販のゴム足を両面テープで貼るだけでは、長時間のプレイで確実にズレて剥がれる。そこで今回は、底板の設計段階で直径数ミリの小さなくぼみを複数配置しておくというアプローチをとった。

このくぼみに、乾燥するとゴム状になる市販の液状滑り止めを流し込んで硬化させる。結果は上々だ。底板と完全に一体化した強力なグリップポイントが形成され、台パン一歩手前の激しいプレイでも微動だにしない圧倒的な安定感を手に入れた。使わないボタン穴を塞ぐブラインドキャップも自作し、プロダクトとしての完成度を一段階引き上げている。

ついに完成!1号機の仕上がりと次号機への課題

数々の試行錯誤とトラブルを乗り越え、ついに自作レバーレスコントローラー1号機が産声を上げた。クリアな表面と重厚なブラックケースのコントラストは美しく、Bambu Lab P2S Comboの圧倒的な造形精度により、分割ケースの継ぎ目も全く気にならない。肝心の打鍵感と剛性も、市販の3万円クラスのハイエンドモデルと真っ向から勝負できるレベルに仕上がっている。

しかし、実際に『ストリートファイター6』で実戦テストを行うと、厳しい現実と改善点が浮き彫りになった。まず、メニュー用に配置した16mmボタン。PC環境(XInput)で使う分には5個も不要であった。

加えて、前述の「天板カバーがボタンに挟まれて交換できない問題」や、高価なType-C変換コネクタへの依存など、設計の甘さが露呈したのも事実だ。とはいえ、ゼロから組み上げた1号機としては、間違いなく大成功の部類に入る。この泥臭い失敗と教訓こそが、自作の最大の資産だ。今回のデータをフル活用し、すべての弱点を克服した「2号機」の設計に、今夜から取り掛かるとしよう。

失敗から学ぶ自作のリアル。実戦投入で見えた1号機の真価と限界

Bambu Lab P2S Comboの造形力を極限まで引き出し、剛性とメンテナンス性を徹底追求。市販品に肉薄する完成度の一方で露呈した設計の甘さまで、ガチ勢の視点で容赦なくレビューする。

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